「私、わからぬ」@赤坂RED/THEATER

空間ゼリーVol.9『私、わからぬ』

えんなちゃんが出演する芝居の初日です。


「わたしは、私がわからない」

物語は徳井家の居間を舞台にし、徳井家の長女一子と次女さえを中心に進んでいく。
「嫁いだ姉が帰ってきた、理由は夫が行方知れずになってしまったから」
漫画家の一子は締切に追われる毎日を過ごしている。夫が自分の前から姿を消してから一年。
二度目の桜の季節がやってきた。周囲は夫に逃げられ、仕事に打ち込む一子を心配する。
しかし一子はそれについて何も言わない。不平も言わなければ涙一つこぼさない。
そんな姉の姿を妹のさえは冷静に観察し、そして否定する。
「お姉ちゃんはいい子のふりを相変わらずしている。自分だけは問題が無いという顔をしている」
母・美恵子が茶道教室を営んでいる事も有り、一子は周りの様々な好奇の目にさらされる。
編集者の明菜は一子を大げさに心配し、アシスタントの美優は一子を心の底で馬鹿にしている。
夫の同僚柴田は季節ごとの手土産を持って一子の元を訪問する。季節はめぐっている。
道教室の生徒達は日々の話題に様々な憶測を噂する。静かに見守るのは父・光政だけ。
そんな中茶道教室の生徒の一人が一子に一つの依頼をする。
「私の事を取材し、それを本に載せ、私の人生を私に見せてください」
その依頼にのめり込んでいく一子。その様子をさえは更に嫌悪する。
しかし、一子はさえにこう言う「人は誰しも自分より不幸な人を見ることでしか自分の幸せを認識できない」
話を聞くうちに自分も誰かに話を聞いて欲しくなった一子。
しかし、自分の周りの人間には話すことが出来ない。
万が一、自分が誰よりも不幸な人間だと周りに認識され、自分がそれを認識してしまうのが怖いからである。
誰にも自分の心のうちを話せなくなった一子。
季節は過ぎ、雪が降る季節になった。
「人を介してしか、自分の存在、人生を認識できない人々の話」

というシュールでクールでシリアスな(?)ストーリー。
ギャグ満載というわけでもなく、派手なアクションがあるわけでもなく、淡々と話が進んでいきましたが、そういう芝居にありがちな、深過ぎて難解過ぎて理解できない、ということもなく、すんなり入っていくことができました。
というより、笑い満載の芝居よりも、こういう方が好きなのかも知れない。


えんなちゃんはお茶を習いにきている女子高生役で、それほど登場シーンは多くないけど、1箇所目立つ長台詞がある、といういつもの(?)役どころ。
最初に登場してきたとき、制服のスカートの裾がほつれていたのが非常に気になった(笑)


開演が19:30なので、ラストのカーテンコールに登場することはできず、百円野菜のときのような録音挨拶があるわけでもないのがちょっと残念でした。
もし公演が1週間ずれていたら、ちょうどえんなちゃん18歳の誕生日で最後まで出られたんですよね…。