「HAKANA」@明治座

昼?朝?公演に行ってきました。
明治座に行くのはもちろん?江戸っ娘。忠臣蔵以来でしたが、自分が普段行く会場と比較するとやっぱり独特。
見に来ているお客さんも、ヒロイン役ミキティのお客さんよりも、普段からこの会場に来ているようなエルダーな方々が多かったように見えました。


親兄弟、妻子は元より心を許した幼なじみの1人も持たない天涯孤独の流れ者。
手癖は悪いし意地も汚い人間のクズ、博打打ちの鈴次郎(大口兼悟)。


掛け金のなくなった鬼シゲ(住谷正樹)は、最後の勝負で世界一の女を賭け鈴次郎に挑む。
もちろんツキの神様・賽子姫(ホリ・ヒロシ)に気に入られている鈴次郎が負けるはずがない・・・


鬼シゲが用意した女とは墓場の死体を集めてこしらえた女だった。
ついさっき生まれて死んだ赤子の魂を入れて完成させた美しい女。


ただし、この女は生まれてから100日間は抱いてはいけないという。
100日間を経たずして抱いてしまうと水になって流れてしまうというのだ。
名前は、人の夢儚しの「儚(はかな)」(藤本美貴)。


心は子供でも身体は大人の女性。自分の欲望を抑えつけて儚に接する鈴次郎。
鈴次郎になつき、一緒にいることで言葉遣いや素行も悪く育っていく儚。
僧の妙海(松澤一之)は儚を寺に預け教育することを薦め、反対する鈴次郎にサイコロ勝負を挑む。
なぜか、賽子姫の鈴の音が聞こえず、あっさりと負けてしまう鈴次郎。
それからというもの鈴次郎は賭博でも連日負け続ける。


鈴次郎のために女性としての教養、言葉遣い、男の喜ばせかたまで身につけた儚。
しかし全てが気に入らない鈴次郎。
賭博をやめて二人で暮らさないかと鈴次郎に想いを必死で伝える儚。
だが他人に想いを掛けられたことなどない、鈴次郎のとまどい。
その時。賽子姫の鈴の音が聞こえてくる。
「自分には賭博しかない」と言い捨てて鈴次郎は駆けていく。


鈴次郎は百両を借りに妙海を訪れるが、聞き入れられずついに妙海を刺し殺してしまう。
かけつけた儚は涙ながらに「なんでこんなことをするのか」と鈴次郎をなじるが、鈴次郎も最後の勝負だと決意している。
「これっきりだ、最後の勝負だ、二百両になったら土地を買って、儚、一緒に暮らそう。そして一生償って生きる。」


宿敵ゾロ政(村杉蝉之介)との最後の勝負に挑む鈴次郎。
あっという間に百両をすり、ついに儚を賭けてしまう。
頼みの賽子姫の鈴の音は、最後まで聞こえない。


女郎にされた儚。
しかしどんな男でもあっという間にいかせてしまい、決して最後まではさせないという。
大評判となり、ついた名前が「させず太夫」。
そして、99日目。あと1日で儚の夢がかなうという日。
放浪の鈴次郎が、身を隠しながら儚を見守る。


あと一日で人間になれる儚・・・。人間になって、鈴次郎に抱かれたい儚の夢は・・・。
新聞サイトの記事では読者の興味を引くためエロな点ばかり強調されていたせいで、それを読んだ自分もそういう芝居なのか、と洗脳されていましたが、実際に観ると素ん晴らしい舞台でした。
確かにそういうシーンもあるので間違いでなないんだけど…、正に百聞は一見にしかず、恐ろしい。


ミキティは、赤ちゃんから幼少、少女、大人の女性への成長を見事に演じ切っていました。
リボンの騎士のヘケートのときもすごいなぁとおもってたけど、今回は役が主役級になったこともあり、それ以上に魅せてくれました。


随所にちりばめられているお笑いネタも必要なかったんじゃないかと思ってしまったくらいすごい内容だったので、これを観に行ったエッグの3人にとっても良かったんじゃないでしょうか。
特に、源氏物語を(マンガで^^;)読んで幕末にも詳しいのっちなら、余計なフィルタを排除して観られたはずなので、宣言どおり何か書いて欲しい。
ブログ用じゃなくて学校のレポート風に書いてくれると素敵なものができそうなんだけど…、それは無理か。


源氏物語というのは、色というのはもちろん、鈴次郎と光源氏に何となく通じるものを感じたから、というのもちょっとだけあったから。
何か(色、博打)にはまっていて、素敵なレディ(紫の上、儚)を育てるぜ、というところ。
他は全然違うんだけど…。




観に行ってよかった!